日々-彼女との秘密

先週末は天気も良く予定もなかったので、ランニングシューズを履き、ipod shuffleを服に取り付けて、ランニングウォッチをはめ、鴨川を北上。

そこである女性と出会うことになり、ある秘密を共有することになる。
そんな話でも。以下。

 

思ったより気温が高く一時間半のロングランを終えると、限界までに喉がカラカラになり、バテバテになる。
出来れば給水所で給水したいのだけど、京都の水が旨いという話は地下水からであって、普通の水道水は至って普通。それを飲むぐらいなら家まで我慢しようと思ったんだが、そこに大きなビワの木にビワが。

そこでアナタに問いたいのだが、目の前にビワがあるのに家のくだらない清涼飲料水なんかを飲みますか?ということだ。

そう、答えは即効のジャンプである。
ただ俺のジャンプを見て、人は「ジャンプかスキップか不確か」と言う。すなわち実がオレンジで美味そうなものがなってるところのビワを取るには思いっきりの助走を必要とする。本意気のジャンプを繰り返すこと3回。
ようやく念願のビワを4個ゲット。

カラカラの喉に水分をたっぷり含んだビワを放り込もうとしたとき、
2メートルぐらい先から僕をじーっと見てる6歳ぐらいの少女がいた。
トルコ人と日本人のハーフのような顔立ちで、ハッと息をのむほどに美しいお団子ヘアの少女だった。

彼女は僕に「それどうするの?」と聞いてきた。
僕は「食べようと思ってるのだけど。構わないかな?」
と聞いてみた。
彼女「でも、その木は、そこの家にあるお爺ちゃんが大切に育ててる木なの」
と言った。

僕はそれについて考えてみたのだけど、どうみても木は鴨川に立っており、そのお爺ちゃんに所有権があるとは思えない。
が、いくらそれについて弁明しようとも、それは資本主義のルールであり、大人のルールなのだ。彼女はもっと別のルールで生きているのだ。

そして僕は
「そんなに大切にしてる木とは知らず。つい喉が渇いて」と本当のことを彼女に言った。

彼女はそれを聞いて「ほんとに食べるの?」と聞いてきた。
僕「うん。食べる。こうやって皮を剥いて、実を食べると凄く美味しいんだよ」
と実際に目の前で皮を剥いて、彼女に手渡した。
ほら、こうやって食べるんだ。なかの種は食べたらダメだよ。と言いながら目の前で実際に食べてみた。カラカラの喉にビワを入れると、口中に酸味と甘味が素早く広がる。
その姿を見て、彼女も恐る恐るビワを口に入れる。

「おいしい」と今までの怪訝な表情から一転して満面の笑みに変わる。

午後のひだまりのなか僕と彼女はビワを静かに食べる。
すべて食べおえると、彼女は僕の目を見て
「私たちの秘密にしよう」と言った。
それは質問でもなく相談でもなかった。
彼女の決意であった。
そう決意し彼女は自分の家の方向に帰っていった。

これが僕と彼女の間にできた秘密のすべてである。


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