日々-朝8時まだ覚めぬ悪夢

起床後、取り急ぎ毎度の犬の散歩に。
家にコーヒーが無かったので、帰りに缶コーヒーを買おうと思い150円を握りしめ、家を出る。

 

川沿いの涼し気な日陰のなかを犬と一緒に歩きながら、朝の眩しく輝く太陽の光が反射した川を眺めるというのは、とても幸福な気持ちになる。
キラキラとした反射光を受けながら犬は鴨川の水をたらふく飲み、鴨川の飛び石を犬と一緒に飛び越える。
おし、今日も1日ゴリゴリとタスクをこなそうという気分になり、帰路に着こうと思ったのは、確か9月10日の朝7時50分。

おっと、タスクをこなすには珈琲必須とのことで、少し遠回りして自動販売機に。
握りしめていた150円を自動販売機に入れ、
迷った挙句、少し高めの珈琲にしようと思い、「アイスコーヒー深煎り」のボタンを押す、
ガコンという威勢の良い音が聞こえ、それを取り出そうと自動販売機に手を入れたところ「アイスコーヒー深煎り」が無い。

ん?無い?
俺は「アイスコーヒー深煎り」の方を見て、実際に押されているかどうかを確認する。
うん、押されている、お釣り入れに手を入れてみると30円がある。120円と「アイスコーヒー深煎り」の交換は完了してる。
もう少し手を伸ばしてみると、確かに「アイスコーヒー深煎り」はあるのだが、横に出てくるはずのところが、どのように回転したのか分からないが縦に挟まっているのだ。

これが取り出せない。そもそも手があまり入らないので「アイスコーヒー深煎り」を回転まで持っていけない。

皆さん、ご存知かもしれないのだけど、シーズンオフの京都は、とことん修学旅行生が多く、そして運が悪く自動販売機はバス停の横だ。
徐々に増える修学旅行生。
俺の後ろでニヤニヤしながら談笑してる中学生三人組・・・・。その横には10人の女子中学生。

・・・落ち着け、俺にこんな悪夢が訪れるハズがない。
深呼吸して、心を落ち着ける。俺は「アイスコーヒー深煎り」を横に回転させることが出来るオトコなのだと。
いける。確信して、自動販売機に手を入れる。当然ながら回転しない。
そこそこ強く手を入れるモノだから手が痛い。
何事だとこちらに興味を持つ中学生たち。
不安げに俺を見つめる犬。主人のそんな焦った姿を見たくなかった・・・とでもいうような表情で。
通りがかりの別の中学生グループが「ジュース買うわ」とのことで俺の後ろに並ぶ。
並ばれたので、僕は彼に必死で「なんか缶が詰まってて、取り出されへんねん。変やねんと」と支離滅裂な説明に終始。
「そうですか、分かりました」と中学生。なぜか申し訳ないキモチになる。
が、俺も商業的取引の履行を求めチャレンジを繰り返すが取り出せない・・・。手の甲は真っ赤になりつつある。

とはいえ手を入れててもラチがあかないので、取り急ぎ場を去る俺。ついてくる犬。
そして家に帰り、犬に「必ず成功させっから」とガッツポーズをし、靴べらを握りしめ、家を出る。

ダッシュで先ほどの自動販売機に戻る。
自動販売機の前に人は居ない、中学生が取り出せるかのチャレンジをしてなくてホッとする。
ただバスが来ないのか、中学生の数が増えてやがる。尻込みしそうになる自分を鼓舞し自動販売機に向かう。
自動販売機が登頂不可能の山のように見えてくる、
それでも俺は速度を緩めない。靴べらを握りしめ、自動販売機の前に立つ。

腕を鳴らし、首を回す。
靴べらの角度を定め、自動販売機に入れる。

・・が取り出せない。
きちんと「アイスコーヒー深煎り」にヒットするが、回転までは行かない。
もうガチガチに挟まってしまってる。

中学生たちから「こいつ120円のために家から靴べら持ってきたよ」みたいな顔をされるが、ポイントは120円じゃない。商取引の履行であり、資本主義の根本的原則の追求なのだ。

そうしてると、中学生の学校の先生まで集まってくる。
ざっと見渡すと40人近くの修学旅行生が居る。
修学旅行気分の先生の目が、僕の動きを経て、教職者の目に変わりつつある。
このままでは危ない・・・・そう思い、最後の手段だと思ってた、自動販売機の管理会社へ電話を試みる。
靴べらと一緒に携帯も持ってきてたのだ。

が「現在は営業時間外です」のアナウンスが流れる。
ただ俺はその機械的なアナウンスと電話がつながったようなふりをしつつ帰路へ。
40人の中学生と二人の教職者が僕を見ている。
家に戻り、靴べらと携帯を靴置き場に置く。俺は今から大量のタスクをこなすことが出来るか、今現在では全く分からない。

「ジョージアの自動販売機とアイスコーヒー深煎り」
是非、その組み合わせを覚えておいて欲しい。
キミにも同じ悪夢が訪れないとは限らないのだ。

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