雑感_人はなぜ悩むのか?悩む理由と悩まない方法を考えてみる

人はなぜ悩むのか?をきちんと考えてみたくなって、考えてみました。

珍しく長文。


人はなぜ悩むのか?

そして悩みはどうすれば解決できるのか?



ということを考えてみた。

ご興味あれば。

1.なぜ人は悩むのか?

なぜ「悩み」について考えたのかと言うと、これは弊社はサブスクリプションの洋服のコーデレンタルを運営し「洋服の悩みをなくす」というミッションを掲げているんだけど、そもそも「悩み」ってなんだっけ?という問題から。

すなわち、

「人はどのようにして悩むのか?」

「そして人はどのようにして悩みを解決するのか?」

からスタートした。


あなたは答えがわかりますか?



2.悩みのはじまり

悩みの考察が自分だけだと少し心もとないので、洋服の悩みを考察するために、国分功一郎さんの「暇と退屈の倫理学」で熊谷晋一郎さんという医者の方が使っていた「サリエンシー」という概念を使う。

これは医学用語で、新しい強い刺激、未だ慣れない刺激のことを言う。


例えば、人は知らない土地に行ったときに、気候、交通、治安など多数のサリエンシー(強い刺激)を受けることになる。そしてその土地に長く住めば、人はサリエンシーに慣れて、サリエンシーとして認識しなくなる(=慣れない刺激として認識しない。人は長く住んだ土地であれば、新たに何かを感知することが少なくなる)


土地だけではなく、人もそうだろう。


会ったばかりの人とのコミュニケーションもサリエントな体験になる。、こちらの行動に対して、どう対応してくれるか分からない人と話しをして、相手とうまくコミュニケーションが取れないと、人はサリエントな体験をうまく消化することが出来ない。

このようにサリエントな体験を通じて、うまくサリエントな体験を消化できなかった場合、次に同じような体験があると、それを前回よりも強いサリエントとして認識し、何をすればよいのか分からないことで悩みなってしまうのではないかという仮説である。

もちろん悩みは、悩みが持続するためのエネルギーが必要だ。
多くの悩みは「未来への不安思考」をカロリーとして利用する「来月もあの怒りっぽい上司と仕事をするのか」「来年お金がなくなったらどうしよう」という未来への不安を使うことで、悩みは悩みとして持続可能となる。未来の不安を感じない人の悩みは持続しない。持続可能な悩み。

今回は、このサリエンシーという概念を使い、洋服の悩みについて考えてみたい。

3.洋服の悩みに置き換えてみる。洋服のサリエンシーとはどんなものか?

ここで弊社のサービスのMISSIONにある悩みをどう解決しているのか?から考えて具体的な事象からサリエンシーを考察したい。洋服のサリエンシーとはどうやって発生するのか?

例えば、久しぶりに女性とデートに行くとしよう。ようやくこぎつけたデートで、店も自分で決め照明が少し落ちたおとなしい大人の和食の店、

そんなお店に行くときの洋服についての知見を持っていない人は、その洋服選びはサリエントな体験になるのではないだろうか。

そのデート終わりに相手から「服装についてのダメ出し」をされたらどうか?



そのダメ出しから学べる人は多くない、何人かの人は、そのサリエンシーは体験からの学習にならず、うまく消化できないのではないだろうか?




4.洋服のサリエンシーを消化できなかった人

もう少し続けていく。
先日、僕はleeapのユーザーにユーザーインタビューをして「うちのサービスを使う前に、どんな悩みがありましたか?」と聞いたところによると、多くのユーザーが「洋服の失敗談」や「ひと目に触れて洋服を着る機会があるが洋服の正解が分からない」という話をしてくれた。多くの人は、それを解決するためにユニクロのマネキンの服を買ったり、ファッション系のYou Tubeを見るが、解決はできなかったという。

leeapを利用してくれているユーザーの多くは、洋服のサリエントの体験を通じて、うまくサリエントを消化できずに、生活において洋服選びが悩みとなっている人が多かった。

その悩みがあるユーザーは、僕らのサービスを通じて洋服の悩みを解決しているのだろうか?



続けて聞いてみた。

「leeapを使うことで洋服の悩みは解消したか?」と聞いたところ、多くの人が「leeapを使うことで悩みは解決した」「大枠の悩みは解決している」と言った。

もちろん僕がユーザーインタビューをした人はleeapを使っていて、且つ継続しているという強いバイアスが掛かっているのは前置きするとして、10名のユーザーインタビューのうち、洋服の悩みが一定解決したと答えた人が9人居た。

これまでの状況をまとめると、

・何らかの洋服のサリエンシーからの傷があり、洋服に悩みを持つユーザーが居る

・自身では悩みの解決が出来なかった。もしくは悩みをどう解決すれば良いのか分からない

・そこでleeapを使うことでその悩みのいくつかは解決した

ということとなる。



ただそのサリエンシーの傷はなぜleeapを使って解消したのか?

なぜleeapを使うことで洋服の悩みはなくなったのか?

僕自身も分かっていないことが多いのだが、洋服の悩みが引いて考えると、人の悩みに思う。ひとつずつ悩みの考察を進めていきたい。



5.悩みの質と悩みの解決

実際に洋服において、どんな悩みがあるのかというと、いろんな悩みを聞いたが、大きく言うと「正しい洋服が分からない。そして自分の服に自信がない」になるように思う。

そのために弊社leeapで提供すべき基本的な価値がふたつある。



ひとつは、洋服のセオリーから見て「問題がない洋服を提案する」というのと、提案した洋服のセオリーを「問題がないとユーザーに理解してもらうこと」が大事だと考えている。

自分の今着ている洋服がなぜ大丈夫なのか。なぜなら。の説明をするようにしている。

そしてleeapでは自社の服の多くを洋服開発を進めているのだけど、leeapはサブスクリプションモデルなので、来月お届けするユーザーの情報(体型・嗜好性)がわかっていて、使ってくれている人だけを考えて洋服を作ることが可能で、来月あの人が使ってくれる服の追求が可能な世界がある。


ふたつめに大事な価値観として、leeapではスタイリストがユーザーとチャットを通じて、細かい部分までヒアリングしている。これは、いままでアパレルが考えた、アパレルのおしゃれを押し付けないようにしている大事にしている。

なぜか?



美容師と顧客の関係で説明するとわかりやすい。


もしあなたが美容師に行き、何も質問されずにトレンドの髪型(例えば、サイドの髪を深く刈り上げるとか)にされたらどうだろう。

いきなりそんなことをしても許されるのは、予約の取れないカリスマ美容室ぐらいではないか。


ユーザーにはどんな服が苦手で、どんな服が好きかを聞き、もしあればどんなスタイルにしたいかを聞く。そしてできれば着用した写真を送ってもらう。あわせてユーザーから洋服のフィードバックを貰い、次のコーデに活かしていく必要がある。

ひとりひとりにあわせた洋服を提供することが大事である。


このふたつがleeapで大事にしていることであるのだけど、これが悩みを解決した理由なのだろうか?


もし実際の問題の解決だけでユーザーの悩みが解決されるのであれば、ユーザーは洋服系のYou Tubeの情報を見て、ユニクロで服を買えば悩みを解決するのではないか?

なぜ解決したのか、もう少しだけお付き合いいただきたい。



6.人が誰かと一緒に居たい理由

悩みと解決を考えるにあたり、参考にしたい研究がある。それは多くの人は、一人で生きていくのを困難・苦難だと感じていて、米ブリガムヤング大学教授(心理学)のホルトランスタッドの研究によると孤独感が高いと、喫煙、飲酒、運動不足、肥満よりも大きい短命リスクだと指摘し、孤独感が死亡率を26%高めると結論付けた。

人は孤独な状況に居ると、健康を害する。と発表され、これは社会的にセンセーショナルに取り上げられた。



なぜ人はだれかと一緒じゃないと健康を害してしまうのだろう?



参考にしたい事例がある。それは精神疾患の回復メソッドである。

精神疾患の回復メソッドの多くは、カウンセラーでもセラピーでも、基本的な構造として自分の状況・悩みを形にすることが求められる(箱庭療法などでも別の物質を介して、悩みを形にすると理解している)

これらカウンセリングやセラピーでは患者の多くは自分の症状を言葉にする、そしてその状態をみんなで共有する。

なぜこのカウンセリングやセラピーの多くに効果があるのかというと、他者に自分の症状を説明をすることで、自分と症状を客体化できるという要素と、他者を媒介して、自分の症状から何かを一緒に発見できる構造があると僕は聞いた。

すなわち人は誰かと一緒に居ないと自分の傷や悩みが相対化できないのではないか。


傷を長期的に抱えることが長期的なストレスになって、健康を害してしまうのかもしれない。


逆に言えば、人に自分の悩みを共有することで、悩みが解決するのかもしれない。




この話をleeapに置き換えて考えてみよう。

洋服においてのサリエンシーの消化に失敗した人は、自分の傷をうまく相対化し消化できていない。自分の傷をまずはきちんと治すこと、そのためには傷が傷として認識する必要がある、傷や失敗した体験をleeapのスタイリストに話すことによって、傷が悩みとなって形になる。

そして悩みをきちんと解決し、スタイリストと悩みを共有することで悩みの多くは相対化されることで、悩みが解決するのかもしれない。

有用性は多くのカウンセリングやグループセラピーが証明してくれているとおり、まずは実際的な傷の根本的な解決が必要で(傷を受けている最中は傷を修復できない)それからは、その傷が悩みの言語化をし相対化をする作業のふたつは、悩み解決の両輪のように思う。

それらのふたつの複合的な解決によって、leeapを通じて、ユーザーの洋服の悩みの多くは解消出来ていると言ってくれているのではないか。

もちろんleeapのサービス自体は2021年8月現在まだまだで、次のAW(オータム&ウィンター)では、もう少し良質になるはずだが、出来ていないことは多い。

大事なことはユーザーの話をきちんと聞くこと。そして実際的に解決し、長期的に洋服について何でも相談できる関係を築くことを大事にしていくつもりだ。




6.悩みを解決するために大事なこと

もし悩みについて一般化出来るとするならば、自分が悩みと感じるサリエントな体験をきちんと言語化する。
どこでそれが起こって、なぜ起こって、自分はどう感じたのか?を言葉にしておく。

そして、いまのサリエントな体験においての状況はどうなのか?まだ血が出ているのか?治りそうなのか?もし血が出ているなら、実際的な対処が必要である。いそげ。はやく。である。


そして血が出て無くて、ある程度治りかけであれば、解決に向けて行動してほしい。

出来るだけそれを言語化して、誰かに伝えるのが効果的だ。
拙くても良いので言語化すること、何度も何度も言語化すること。

そしてもしまわりに、そんな困っている人がいれば、ぜひとも、話を聞いてあげてほしい。

有用なアドバイスは必要ではなくて、ただ話を丁寧に聞くだけで、多くの悩みは解決するのだから。
(そして僕らもできればそんなサービスを作れれば良いと思っているのだ)

コメントを残す