雑感-名言の誤用と楽しみ方

エイブラハム・リンカーンの言葉に、

少ない人を、ずっと騙すことはできる。すべての人を、少しの間騙すこともできる。しかし、すべての人をずっと騙すことはできない。

という言葉がある。

好きな言葉である。名言だ。古典好きな自分として、長く残るコンテンツって、やっぱりそういうことだよなー。みたいに思うことが多い。

ただこれってリンカーンが言ってたと全然知らなかった。リンカーンの言葉であるなら、これはどこで言ったのだろう?

リンカーンと聞いて、思い出す言葉はもうひとつある。

それは、

あなたがころんでしまったことに関心はない。そこから立ち上がることに関心があるのだ。

である。

この言葉で聞いたときに思ったことは、

本当にそうだろうか?

人って、誰かが転んだ話に強く興味を持つなと。

どう転んだのか?なぜ転んだのか?は多くのワイドショーのネタになりえる。

 

名言を見てて思うが、以前読んだ本で、哲学者ショーペンハウアーが「思想の多くは、言った時点で死ぬ」みたいなニュアンスのことが書かれていた。思想は、前後の文脈によって伝えたいことが規定されるみたいな話なんだろう。

冒頭のリンカーンの話も、いつ、どこで誰に向けて言ったのかよって、受け取りの文脈は変わるのだろう。そんなことをつらつら思いつつ、何が言いたいのか無いのだけど、偉人の名言コンテンツって結構楽しい。前後の文脈が無く、強く言い切るフレーズが多く、考えさせることが多い。今回のリンカーンも「本当にすべての人を長きに渡って騙すことはできないのか?」という問いは、まだまだ考え続けたい問いである。

 

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